1:00VE / 西麻布SuperDeluxe 08/07/23

録音機材の進化、低価格化とともにここ数年でネット上に溢れる音楽のレベルも飛躍的にアップした。一方で、非常に良く出来てるけども感性も機材も7割ぐらいしか使っていないような音楽もまた多い。破綻なく、お行儀のよい音楽。はなから“カテゴライズ”されたくて作ったような音楽。正直つまらないし何も訴えかけては来ない。
そんな中昨年mixiで出会った荒井佑(あらいたすく)という21歳の若者が作る音楽に強く心を打たれた。「夢」が大好きだという彼の紡ぎだす音は、技術音質云々を超えた、心象風景をそのまま音にしたような音楽だった。その荒井佑くんが普通のバンド形態とドラマーというポジションを潔く捨て去り(突然天の啓示を受けたそうだ)、スティックをコンピューターに持ち替え今年新たに立ち上げたのがこの総合アートグループ“1:00VE”(LOVE)。
「公演ごとにシーンをくぎり、その都度メンバーや表現方法を変えて活動する」
という斬新なスタイル。コンピューター、男女ダンサー、ピアノ、ギター、ドラム、VJという編成ながら、シーンによってメンバーが出入りするためいわゆる大所帯バンドという印象ではない。この日は1時間超のスペシャルな公演でもあり、現在の1:00VEそのすべてが凝縮された非常に濃密なステージだった。生死や喜怒哀楽をアンビエント、ノイズ、エレクトロニカ、ポストロック、IDM、クラッシック、ジャズetc、、、それらすべてを飲み込んだかのごとき貪欲な音楽性で徹底的に表現。個人的には「再生」「生まれ変わり」のようなメッセージを感じた。
KAOSS PADをはじめ3台のコントローラーをたくみに操る様は、いわゆるラップトップ・ミュージシャンの退屈なえづらとは違い非常にアクティヴなもので、確かに「ライブ」している。途中操り人形にコントロールさせる演出があったのだけどあれは反則。泣けた。オルゴールの繊細な響きからファズギター炸裂の轟音へのカタルシス。
話をするとごくごく普通の21歳の好青年なのに、その彼の中にこれほどの質量の音楽が詰まっていることに、そしてそれを見事な形に仕上げ、更にオーガナイズする能力に感服。常々才能に年齢は関係ないとは思ってはいたが、天才ってのはいるもんだなぁとしみじみ。愛と浄化と再生の1時間を堪能した。末恐ろしいとはまさにこの事。
公式サイト:http://www.1-00ve.com/index.html
arai tasuku MYSPACE : http://www.myspace.com/shefallingsky
- [2008/07/24 11:00]
- ライブレポ |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
Laura Japan Tour 2008 −Surround & Noise Night− 西麻布SuperDeluxe

オーストラリアはメルボルン出身の6人組、Laura待望の初来日公演。植野隆司 × 相馬大によるグラスハープによるセッション(DEERHOOFのサトミさんも参加)と、テクノとフュージョンが合体したような独自の音楽を奏でるRADII & LUDI(こちらのキーボードの方がLauraを発掘、プロデュースして下さった大変ありがたいお方だそうです)のライブを経て22時(!)、いよいよLaura登場。
初めて観るバンドにありがちですが、僕らの目の前の席で普通に飲み食いしてたガイジンさん達が実はメンバーだったよというパターン。翌27日が「Loud & Heavy Night」ということで この日は4スピーカー・サラウンドPAを用いた「Surround & Noise Night」。轟音鳴らしてくれないの?という一抹の不安もあったのですが、なんのなんのの轟音大会。クラブ向けのハコだけあって少々PAが弱いのですが、豪州のバンドらしい足腰のしっかりした演奏力と安定性で物足りなさはまったく感じません。それどころか逆に変にコンプレッションされない分バンド自身による強弱のコントロールが際立って素晴らしかった(すごく前のほうで観たの)。「轟音」は音量ではないのです。
それからチェロがひとり入るだけでバンドの表現力はこうもアップするものかと感心するほどに女性チェリストの存在感が素晴らしい。バンドのダイナミクスに合わせてときにすすり泣くように、時にむせび泣くようににガリガリと激しく弾かれるチェロ、音域もとても広い楽器なので非常に効果的で、さっきまで目の前で大盛りポテトフライをがっついてた人とは思えない泣きのプレイを堪能させてくれました。
サラウンドに関してですが、あれを本当に効果的に使おうと思ったらそれこそアレンジの段階から考えねばならないので、予想通り効果音的なウワモノを回す程度な感じでした。ただこのLauraはアンビエント、シューゲイズ要素もかなり強く持ってますので「Radio Swan is Down (Part II)」のベルっぽい音やその他ノイズなどが会場内をぐるぐる回るのは、壁一面を使用した映像と相まってまるで深海にいるかのような気持ちよさでした。
それから歌。基本はインスト中心なのですが、ドラマーとギターのひとりがボーカル兼任します。特にドラムさんはアク抜きしたクリス・マーティン的美声おまけに美形で、メインボーカルでいいんじゃねぐらいに素晴らしかった。あとグロッケンシュピールもすごく上手いという芸達者。曲によってはキーボーディストもギターに持ち替えトリプルギター編成になるのですが、ギターアレンジが全体にとてもかっこよい。フレージング、リフ、アルペジオ、どれをとってもフックに溢れている。そして肝心の楽曲の素晴らしさ!!アルバムは少々サウンドプロダクションが残念な感じなのですが、ライブだと楽曲そのものの素晴らしさと迫力がより一層際立ちます。ポストロック系は「顔で弾く」ものですが、メンバーそれぞれの表情もエモーショナルでよかった。ベースくんのアシカショーのようなお辞儀も可愛かった。
いわゆるポストロック系バンド数あれど、個人的にはこうした慟哭的な要素を持っているバンドに弱いです。Lauraは感情表現のふり幅、慟哭と爽快さのバランスがとても素晴らしく、よく出来た一本の映画をみたような、さまざまな土地を旅したような、そんな気分にさせてくれるのがとにかく魅力です。というような非の打ち所がない感じであっという間の一時間。次で終わりだよと言われた日には「えーっ!」という声が出ること「いいとも」の客の如し。「Cardboard Cutout Robot Victim Hero Children」で本編終了。鳴り止まない拍手に再登場。伸びやかなボーカルが気持ちいい「I Hope」で本当に終了。現時点で軽く本年度NO.1の内容でした。心底来てよかったと思った。アルバムの悪流通やなにやらで(現在は国内盤も出ています!)知名度的にはまだまだ低いかも知れませんが、人気ポストロックバンドにまったく引けをとらないバンドですのでこの機会に是非!
試聴:http://www.myspace.com/lauranoise
あと六本木ってほとんど日本じゃない感じですね!19時開演なのにだらだらーっと20時過ぎ開演。トリのLauraスタートが22時て「今日って平日の夜だったよね?」と自問。お客全員都心在住だと思ってるかのごときスタンスが素敵☆なギロッポン。おかげで終演後はダッシュで大江戸線に飛び乗る大江戸捜査網。ホタテと神奈川県民をナメるなよ。
- [2008/06/27 10:01]
- ライブレポ |
- Trackbacks(0) |
- Comments(2)
- この記事のURL |
- TOP ▲
東京交響楽団

どうも、クラッシック通です。まるっきり嘘です。昨年に引き続き、今年も仕事の関係でありがたくも招待頂けたので行って参りました、「オペラ界と指揮界の貴公子の夢の競演」(笑)。実は微熱があって平熱低めの僕は相当に体が重かったのですが、サントリーホールという一流の会場で、東京交響楽団による超一流の演奏が、無料と書いてタダで聴けるとあってはユンケルガブ飲みして行きますとも。自費じゃまず行く機会がありませんからね。
ほんとにもう日頃やれどこどこのストリングスネタがいい、やれどこどこのリバーブがいいだの言ってるのがバカバカしくなる素晴らしさ。完璧な演奏、いかにもうん千万の楽器の音色(フルートなんかこの世の音じゃない)、完璧な音響、ジャンルだとか好みだとかを超越した素晴らしさにため息しか出ません。さらに今回はテノール中鉢聡さんが凄いのなんのって。お墓の前の人なんかぜんぜん声出てなくね?という絶唱ぶりに感動。魂入ってました。何故にこんなにも人の声って力あるんでしょうかね。「生音」の柔らかさと相まって、耳(ここ二日間PORTISHEADしか聴いてない)も心も洗われました。
改めてアレンジ≒ミックスであることを痛感。完全生音でいわゆる「ミキシング」なんてされていないにも関わらず終始バランスが完璧なんですもの。非常に勉強になります。
終演後はただビールにもありつけて最高。おまえ全然体調悪くないだろうという短時間2リットル飲み。本当にありがとうございます。
- [2008/05/03 01:30]
- ライブレポ |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
RaidWorld Festival 2008.04.26 Shibuya AX
Explosions In The Sky、MONO、envy、world's end girlfriendというその筋の人間にとっては気絶級のフェス。一夜限りなので遠方から来た方も多いのか、envyのボーカルさんが「さっきMONOの人とも話してたんです、なんでこんなに人入ってんだろうねーって(笑)」とMCで言ってしまうほどの盛況ぶり。なんというか、こういう愛想のない音楽を愛する人がこんなにもたくさんいるという事実は非常に嬉しいです。4時間の長丁場、寄りかかれるベストポジをキープ出来たものの、中抜けなしのフルで観たので足腰に来てる中年が超簡単なレポをお送り致します。
world's end girlfriend
サックスと生ドラム、そしてギターを抱えてPCやミキサー(らしきもの)を操るワールズさんという編成。バック一面を使用する巨大スクリーンに映し出される映像で視覚的にもインパクト大。ただPAバランスが悪くせっかくの生ドラムがほとんど聞こえない。複雑な音楽なので全てを生でというのは相当難しいと思われますが、ストリングスや打ち込みドラムその他効果音等、重要なパートがシーケンスでだだ流しなのが少々物足りない感じではありましたが、美しくも暴虐的なWEGの世界は見事に表現されていたと思います。あとエヅラ的にかっこいいですねWEGさん、侍っぽくて。
envy
いやーーーーーかっこよかった!!初めて観たのですが今日一番の収穫です。実は音源はちょいちょい聴いていたのですが、特にVoさんの声質から受ける日本人特有の線の細さ(あくまでも洋モノヘヴィーロック好きの僕の耳には)がどうしても気になり、それほど魅了されてはいませんでした。しかし初めて生で観てvoさんのキャラクターを知ると、逆にそれが魅力へと変化しました。音の方も百戦錬磨を思わせるタイトっぷりが圧巻。微妙なタメなどがメンバー間でアイコンタクトもなしにピタリと決まるさまが異常に痛快でした。皆さん上手い。特にドラムさんはワンタムのシンプルなキットでありながら非常に多彩なビートを叩き出していて惚れました。あとここ日本ではYOSHIKIさんらの人気からもわかるように「速く叩ける=巧い」という認識があるように思いますが、それは大きすぎる誤りです。ドラムは遅く叩くほうがはるかに難しいのです。このenvyのドラムさんはその点でもお見事でした。超スローなパートでもスネアが最適に気持ちいいところにスパーン!と来る。乱れない、はずさない。素晴らしい。とてもいいバンドです。激しくまた観たいです。
MONO
さていよいよ愛するMONOです。愛するMONOだけはセトリ言えます。
Yearning
The Kidnapper Bell
新曲
新曲
で約一時間。「Yearning」のバースト部分で照明が明るくなるのが0.5秒ほど遅れたのはいかんです。あそこは絶対はずしちゃいかんところです。スタッフー!って感じです。3曲目の新曲は、基本的にはミニマル長尺MONO節でありながら珍しく夏の海っぽい雰囲気を持つ曲でした。新機軸かも。ラストの新曲は昨年のクアトロでも披露されたおなじみの新曲。この曲、かなりかっこいいです。その分この日のセットは少々チャレンジングというか、MONO初観の方にはアピールしづらい選曲だったのではないかなぁとも思いつつ、1音1音を紡ぐように丁寧に丁寧に鳴らされる音はいつもの通り彼らの思いがしっかりと宿っていたので、確実に伝わっているだろうとも思います。なんか最後ドラムのTakadaさんは何故かタム持って走って袖に消えるし、Gotoさんはギターシールドからんで収拾付かなくなってる感じだったんですけど、本当にこれで終わりの予定だったのでしょうか。。。
Explosions In The Sky
さてトリを飾るはテキサスのバンドExplosions In The Sky。ギターのMunaf Rayaniによる丁寧な丁寧な日本語による挨拶の後ライブスタート。和洋混合のイベント観る度に感じるんですけど、決して良い悪いの話じゃなく、鳴らされる「音」が明らかに違うんですよね。レコーディングの場合はよく「電圧の違い」とか「湿度の違い」とか言われますが、ここ日本でのライブにおいても違う、ということはそういう部分ではなさそうです。やはり「食うものが違う」という事でしょうか。不思議ですが、このEITSも1音目から明らかに前の3バンドとは質感が違うんです。具体的に言えばパリっと乾いた感じです。さすがとしか言いようのない貫禄すら感じさせる最高に心地よいサウンド。アルバム同様に彼らは力技で轟音の壁を作るのではなく、アンサンブルの妙によって盛り上げるのが非常に上手いです。特に感心したのは「いくと思わせていかない」といった小波小波中波小波小波大波的な攻撃。いわゆるポストロックに属するバンドの多くが小→大へ劇的に盛り上がる形を得意とする中、まさに海を思わせるこのうねりにはやられました。メンバーの人柄の良さもにじみ出る、素晴らしいバンドです。フロント3人で合わせてギターをぶっ叩くように弾いたり、Munafの弾き方が完全に「シャベルで穴を掘る人」だったり、視覚的にも楽しませてくれました。ダブルマーチングドラムにも燃えた。アンコールあるのかと思いきやMunafの「今度は4年も5年もあけずにまた来るよ」的MCを最後に終了。
さて4時間の濃厚なフェスはこれにて終了。各アーティスト間のリスペクトと関係の良さがにじみ出る、とてもいいヴァイブを放つ心地よいフェスでした。この場にいられることが幸せ、的な。“ヴァイブ”の使い方合ってますか?流れも非常に良く、ひとつの大きなショウを観たという気さえします。これは是非とも2回、3回と繋げていって欲しいと思います。
あ、ひとつ苦言。この日は警備がゆるく、携帯どころかデジカメでバシバシ写真撮ってる人が多かったんですけど、プレイ中の静かな場面でも「ピピピ」とか「カシャ」とかお構いなしなのは限勘弁して欲しかった。耳元でやられて相当うざかったですよ後ろのおねーちゃん!撮るなら無音設定にするか轟音のときに。
- [2008/04/27 22:04]
- ライブレポ |
- Trackbacks(0) |
- Comments(3)
- この記事のURL |
- TOP ▲
2008/04/06 大野まどか / 阿佐ヶ谷 Next Sunday

ニーナ・シモンの名曲「Lilac Wine」のカヴァーを1曲目に持ってくる段階で殺す気かと思いました(ちなみにジェフ・バックリィによる途轍もなく素晴らしいカヴァーバージョンはこちら)。自分の大好きな曲をへっぽこにカヴァーされることほど腹立たしいことはないわけですが、この「Lilac Wine」は大野さんの繊細なハスキーボイスにとてもよく似合う好カヴァーに仕上がっていました。それからなんといってもこの「Next Sunday」はスタインウェイ(!)のグランドピアノが常設されているという素晴らしすぎるライブハウスなんです。その力強くも柔らかなサウンドはやはりデジタルピアノが逆立ちしても表現し得ないものです。
歌詞、メロディー、ピアノ、そして歌、そのどれもに「大野まどか」が強烈に刻印されており、荒削りな部分も含め、本当に自分の世界が確立されているシンガーだと思います。予告通りちょっぴりぐだぐだになりかけた新曲もかなり印象的な曲でした。というかカヴァーで始まり新曲で終えるという無謀なセットリストを敢行するあたり、鹿児島出身だけあってさすが男前。とにかく日本人には珍しい声質と楽曲だと思うので機会がありましたら是非足を運んでみて下さい。次回ライブは4/29の七針だそうです。
試聴
http://www.myspace.com/oonomadoka
- [2008/04/08 22:47]
- ライブレポ |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲






























































































